淡い三日月の夜 風が筆を走らせて
薄紅の雨を写し出した景色眺める
この世は孤独と刹那の
重なることのない雫の斑か
それでも (それでも) 瞳は滲んで
一つ一つの色を混ぜていくのだろう
風が吹き込むほどの
隙間なら気付かれない
春の嵐に包まれ 傍にいるうちは
誰もが (誰もが) 留めたいと願い
重なる時を閉じ込めた琥珀を
集めた (集めた) いくつもの欠片
セピア色しか描けないと気付くだろう
交わらない無数の道さえ
流れ行く河 そのほとりで
並ぶこともあるなら
この世は (この世は) 孤独と刹那が (刹那が)
描く点描の絵なのだろうか
それでも (それでも) 瞳は求めて
春の嵐の様に
数多の色達を混ぜていくのだろう
薄月の夜の道
付かず離れずの影も
少し離れて見たなら
一つに見えるだろう