輕く手を振つた別れの街角
まるで雲が晴れるやうな氣がして
一人步いた路地の石畳が
何だか少しだけ固く感じた
風が背中を押す度に
どうして未だ振り返るのか
平氣だつて思ひたい
聲に出せない言葉が揺れる
此れでよかつた筈なのに
胸の何處かに殘る光
珈琲の香りが包むため息
馴染まない靴音がリズムを切る
スマホに映つた自分の顏が
少しだけ無理してゐる氣がした
心に滲みた靜けさが
惡くないと思へた夜に
平氣だつて思ひたい
聲に出せない言葉が揺れる
此れでよかつた筈なのに
胸の何處かに殘る光
信號が青に變はる度
切れた糸が空に舞ふ
新しい自分になれるやうに
だけど影は何處かで揺れる
平氣だつて思ひたい
聲に出せない言葉が揺れる
此れでよかつた筈なのに
胸の何處かに殘る光