ざわめきが消えない
背中に刺さる視線
何處からか聞こえる笑ひ聲
書かれてゐる名前、あれは偶然か?
誰かが仕組んだ罠か?
ひそひそ囁く影たち
耳元で歪む言葉
誰が何を見てゐるのか
全てがただの幻か
誰のせゐだ?誰のせゐだ?
壁の向かふで響く足音
振り返れば誰もゐない
ドアノブに殘る冷たい手
街中の目が追ひかける
隣人の挨拶が刺さる刃
置き去りにされた靴の跡
何かが動いてゐる痕跡
隙間から覗く影
追つて來る筈の無い氣配
觸れれば消えるその存在
ただ胸がざわついて行く
誰のせゐだ?誰のせゐだ?
階段の音が響く真夜中
誰もゐない部屋に殘る匂ひ
ノートの隅に書かれた言葉
暗闇の中に沈む足音
耳鳴りが靜寂を切り裂く
自分の影さへ信じられず
空氣が歪む度息苦しい
誰のせゐだ?誰のせゐだ?
目を閉ぢても消えない音
何かが動いてゐる氣配
觸れる度に消える線が
終はりの無いざわめき
誰もゐない筈なのに