拝啓 黒猫になった君へ
パノラマで映し出されたかのような
広大な 満天の空の下
月明かりに灯され星が瞬く夜
星に誓い、今君に捧げようと思う
1019
金木犀の香りが漂うこの時期に
蝉の抜け殻を見つけた、わたし
それは私達の全ての始まりだった
魂は地中の果てへ 深々とゆっくり
潜り込んでいるようだった
ああ、そうかこれは秋の終わりの音
時を超え 新しく季節を迎える度に
哀愁が漂う
わたし、なんだか もどかしくなるの
わたしが見た景色、君が 感じた色
きっと 何処かで そう
結ばれてる気がして
あの日 私は君の 鼓動 を感じた
私の中で繰り返し共鳴する小さな心拍数
君が生きてる、私も生きてる
なんて なんて
贅沢な時間なんだろうなあって
苦しみも 傷みも、耐え難い屈辱でさえも
愛おしくなってしまう程に私
今、幸せなのね
気持とは曖昧で裏腹な時も
共に過ごした刹那の時間軸でさえも
まるでそれは映画のワンシーンの様で
橙から紺に移り行く季節を迎える頃
風が 酷く私の心を突き刺してきた
踏み締める度に歪んでいく感情達を
目の前で目の前で 亡くすことなんて
出来やしなくて
長い 長い刻を越えようとしていた
切り離されるその瞬間まで 繋がりを
心臓の奥底で 確かに感じていたんだ
絶えずエコーは鳴り響く
そしてそっと胸に
手を当てて"ありがとう"
そういって私、
泣き腫らしてしまったんだわ
"愛してた"
その感情だけは 本物だったの
あの時の夜 君と何度も話し合った事
それは深く、温い時間であった事
決して忘れないわ、そう強く刻んで