丘からみえる街はほとんど寝静まっていて
波音のベールがやさしく揺蕩うなかで
だれかが毛布のなかでしずかに泣いていた
泣き声に呼ばれたこの姿は
時代にそぐわないオーバーサイズのようだ
なみだのわけをきかなくちゃ帰れないんだ
行かなくちゃ
網目状に規則的な寝息のなかを
いま慎重に慎重に慎重に
足音はすこしづつ隠せなくなってきている
Walking dinosaur 街をゆく百夜行
Step by stepでだれも気に留めぬ間に
きみは誰より愛し愛されてみたいと思っていたんだね
咆哮を、おおきな声で
ごらんよ朝日が顔をだして海面は地平まで燃えている
ひとしい一日がくることを誰もが本能でわかっている
向かい風で頬を乾かすのはおおきくて強い脚じゃなくても
立ち止まっていても座り込んでいても顔を上げていたこと
Walking dinosaur 街をゆく百夜行
Step by stepで
たとえ言葉がなくたって
おわかれの挨拶はやさしく鼻先をあわせて
朝日のずっと向こうの未来でまた会えますように